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女月経前症候群の問題

経口避妊薬(ピル)を使った避妊の重要性とその仕組みについて

今回の記事では、経口避妊薬(ピル)に焦点を当て、これが避妊という目的に対してどれだけの効果をもたらすのか、女性の体にどのように働きかけるのか、そして、具体的に、どのように服用するのが効果的なのか、といったお話をしたいと思います。

避妊の重要性からおさらいし、避妊の具体的な方法へと進み(心構えも大事です)、経口避妊薬の基本情報をご紹介してから、本題の「ピルで避妊はできるのか」という問いに迫ります。主な成功率も示しながら、どのような時に最大限の効果が発揮されるのかも扱います。

特に皆さんに注意してもらいたいのは、経口避妊薬(低用量ピル)と緊急避妊ピル(アフターピル)の役割の明確な違いと、それぞれをどのように使うのが正しいのかです。

さらに、様々な名称が出てきますので(その都度、できるだけ説明を加えますが)、それがどのお薬や分類を意味しているのかは随時、確認しながら、確実に読み進めるようにしてください。

 

はじめに (トリキュラー)

あなたはパートナーとの性行為をどのように捉えているでしょうか?もちろん、愛を育むためにも大事な時間であり、そして、子孫を残すための欠かせない仕組みでもあります。今回の記事では、避妊経口薬トリキュラーについてご紹介したいと思います。

女性は自分の体を理解するようにして、そして男性はパートナーの体の仕組みを知りながら、相手を大事にする術の一つとして、この避妊薬についての学びを深めたいものです。お薬は計画通りに、正しい理解に基づいて服用するとが重要です。

目次

 

1. 避妊の重要性

まずは、避妊の重要性からです。この記事を読んで頂いている時点で、積極的に情報収集をされていることでしょう。これは素晴らしいことです。というのも、若年層をはじめとして(しかし、必ずしも、これに限定されず)多くの人が、正しい知識を得られていないまま、「性」と付き合っています。避妊は単に、一過性のものではありません。むしろ、継続的に実施するものであり、その結果は、あなたの人生全体に影響を及ぼします。

だからこそ、この章にあるポイントには(確認の意味も込めて)是非とも目を通してもらいたいものです。パートナーからの理解が得られていない人、そして、このテーマについての話題が曖昧になっている人は、この機会に対話の時間を設けられるように働きかけてみてください。大事な命を授かるということ

避妊を行わないと、普通、子供が生まれます。大事な命の誕生です。避妊を忘れていた、気にしていなかった…というスタンスで、これだけの大きな責任を負うことができるでしょうか。子供にとっても、そのような生まれ方はかわいそうですし、親にしても、その後の人生が左右されます。子供をどのタイミングで授かるのか、そして、そもそも授かるのかどうか。それは、大事な人生計画の一つです。子供は可愛いもので、そして、家庭の大事な宝になることでしょう。しかし、安易な考えで授かっていいものではありません。

「子供が生まれたことを機に結婚」というパターンも存在しますが、望まないかたちでの、不意を突かれた妊娠というのは、是非とも避けたいものです。

1.1 経済的、時間的な負担をちゃんと考える

経済的、時間的な理由が、その一つです。子供が生まれることで、家庭に生じる出費の大きさは、ちゃんと計算して検討すべきでしょう。養育費もそうですが、赤ん坊から子供にかけての成長に伴い、親が投じることになる時間についてもそうです。これにより、片方の親が仕事をやめて専業主婦(または主夫)になるのは、よくあることです。これらを考えて、それでも、ちゃんと子供の面倒を見ることができるか考えるのが妥当でしょう。

1.2 子育てのサポートは得られるかどうか

また、周りに、どれだけ子育てに協力してくれる人(両親、つまり、子供の祖父母に当たる存在や、ご近所のつながり)がいるかどうかも知っておくべきです。最近では、地域のつながりが希薄になりがちで、このようなサポートが得られないことも、珍しくありません。

1.3 避妊をするかの判断は慎重かつ丁寧に

これら、あらゆる側面を検討した結果、避妊をするのかどうかを判断しましょう。避妊をするとなったら、そこから、正しい知識を、二人(決して、女性任せにしないこと)で獲得することが重要です。ここからは、避妊についてのお話へと進んでいきましょう。

1.4 避妊をしない場合の心構え

簡単に触れておきますと、避妊をしないで、子供を授かると決めた場合には、どれだけの支援が国や地自体から提供されているのかは、前もって調べておくことをお勧めします。経済的な支援もありますし、コミュニティの存在も重要です。また、仕事と子育ての両立をどのようにしていくのかも、是非とも考えておきたいものです。同時に、将来のために、保険、貯蓄についての、早めにプロに相談しておくのがいいでしょう。投資をするにしても、頻繁にお金を動かす、リスクの高い短期FX、仮想通貨取引もあれば、確定拠出年金のように、安定した性質のものもあります。

2. 避妊の具体的な方法と心構え

避妊を行うと決めた場合には、避妊方法として、どんなものがあるのかを理解するように努めましょう。様々な方法がありますが、今回の記事では、二種類をご紹介します。コンドームの使用と避妊経口薬の使用です。それぞれ、男性が使用、女性が使用するものですが、どちらにしても「相手に知識の獲得を任せない」ことが重要です。

2.1 避妊の話は恥ずかしいことではない

ここで、大事な、パートナーとの情報交換についてです。性についてオープンでない人であれば(または、日本人の大半がそうかもしれませんが)あまり、このような性の、特に、避妊の方法について、パートナー間で密に話されない傾向にあります。相手型に尋ねることは、恥ずかしいことではありません。男性であれば女性に避妊経口薬について、女性であれば男性にコンドームについて、わからないことを聞くようにしましょう。

2.2 二人共が知っていることで失敗を回避できる

例えば、避妊経口薬にも、コンドームにも言えることですが、お互いが正しい知識を身につけていると失敗(つまり、望まない妊娠をしてしまうこと)を防げる確率が上がります。コンドームの装着について、例えば、途中からではなく、最初から正しい方法で装着することを女性が知っているかどうかで、チェックが二重になります。避妊経口薬について、正しいスケジュールで服用すべきと知っているだけで、男性側が女性側の服用の日課をサポートできます。

3. 経口避妊薬とは

続いては、避妊経口薬についてです。より具体的な説明へと進んでいきましょう。まずは、避妊経口薬の役割についてです。ここでは、トリキュラーを例にあげます。これは、バイエル薬品が製造、販売する妊娠を「あらかじめ回避」するためのお薬です。経口薬という言葉から分かる通り、口から飲んで服用することになります。コンドームは、直接的な接触を避ける(精液が入り込まないようにする)ものですが、こちらは、女性の体の仕組みに働きかけるものです。

女性の体にどのように働きかけるのかについては、後半の「低用量ピル、エストロゲン、排卵の関係」の章で詳しくご説明します。今の段階では、女性ホルモンに関係していて、体の仕組みから「妊娠ができない状態を維持する」とだけご理解ください。

3.1 経口避妊薬は事後では遅い

大事な点として、また、誤解を避けるために、この点を明らかにしておきましょう。トリキュラーなどの経口避妊薬は、事後に飲むのでは意味がありません。これは、事前に飲み始めて、ちゃんとスケジュールを守りながら、継続的に体を妊娠できない状態にするものです。ですので、ことに及ぶ時に急いで服用して、それだけでOKというものではありませんのでご注意ください。ちなみに、性交後に妊娠を避けるためのお薬は、アフターピル/モーニングピル(緊急避妊ピル)と呼ばれます。この違いを明確に理解することが重要です。

3.2 経口避妊薬は継続して使うことが大事

避妊経口薬トリキュラーは、継続して使うことが重要です。むしろ、継続しないと使っても意味がありません。例えば、上記のように、アフターピルと混同してしまってもダメですし、行為に及ぶ直前に飲むだけでも意味がありません。体質を変えて、妊娠ができない状態にするのが、この避妊経口薬の役割です。詳しくは、個別の項目で説明しますが、トリキュラーなどの避妊経口薬は、女性ホルモンに影響を及ぼします。女性が妊娠するためには、この女性ホルモンが不可欠なのですが、これを分泌させないようにするのが、このお薬の役割ということです。

3.3 トリキュラー製造元の基本情報

トリキュラーについての基本情報もご紹介しておきましょう。これは、世界的に非常に有名な、歴史ある製薬会社であるバイエルにより製造、販売されています。ドイツに端を発する会社で、有名なものでは、アスピリンを世に送り出したことでも知られています。実際、アスピリンは世界規模でバイエル社の商標として登録されていますが、アメリカではこれの登録に失敗し、一般的な薬の名称として使われています。サッカー好きであれば、ドイツのレバークーゼンはご存知でしょうが、このチームは実は、もともとはバイエルの従業員が設立したものです。

4. ピルで避妊はできるのか

ここからは、実際にピルで避妊ができるのか、というテーマについてです。より具体的で実践的な話になります。まずは、ピルとは、何かについてです。非常に、曖昧な定義の中で使われることが多いので、この辺りから整理しておきましょう。まずは、上で触れた避妊経口薬は、低用量ピルと呼ばれます。そして、もう一つの種類のピルが、緊急避妊ピル(アフターピル)です。この二つは、上でもご紹介した通りに全くの別物ですので、それぞれについて、ご紹介します。

4.1 低用量ピルで避妊はできるのか

低用量ピルとは、女性ホルモンに働きかけることで、女性が妊娠できない状態にするためのお薬です。この中には、1相性、2相性、3相性があります。先ほどから登場しているトリキュラーは、この中でも3相性に分類されます。これらの全てが、基本的には(細かな例外あり)毎日服用するものです。シートに錠剤が入った状態で、これを決められた順番とスケジュールで服用します。それぞれの違いについては、以下をご覧ください。

  • 1相性の特徴

1相性であれば、シートにある全ての錠剤に含まれているホルモンが同じです。ですので、1相性であれば、1週間目はこれで、2週間目はこれで、という服用する錠剤を分ける必要はありません。一番シンプルで使いやすい種類だと言えるでしょう。

  • 2相性の特徴

2相性であれば、先程とは異なり、錠剤に含まれているホルモンの種類が2つあります。周期の前半と後半で別の種類のお薬を飲むことになります。そうであっても、基本は1シートです。最初に飲むのがどちらの錠剤で、後に飲むのがどちらの錠剤なのか、違いを区別しましょう。

  • 3相性の特徴

3相性は、御察しの通り、3つの種類のお薬が1セットになったものです。ホルモンの量が、3段階で異なることになります。これだけ聞くと複雑で難しいように聞こえるかもしれませんが、実際には、全くそんなことはありません。むしろ、使いやすいように、他と同様に1シートで1周期というようになっています。

4.2 低用量ピルの効果

これらを踏まえた上での、低用量ピルの効果ですが、非常に信頼性が高いと言えます。トリキュラーの場合では、正しく使う限りはほぼ99%という数字で、避妊が成功します。ただし、これは、あくまでも服用を間違えなかった場合の話です。気をつけていれば大丈夫ですが、いい加減な理解のまま服用すると、正しい効果が得られないことがあります。ですので、どれだけ正しく服用できるのかが全てを決めると言っても過言ではないでしょう。

4.3 正しい低用量ピルの服用方法〜トリキュラーの場合〜

続いては、実際にどのように低用量ピルを服用すればいいのか、具体的な方法をご紹介します。ここでは、一番誤解されがち(一番シンプルではない)ものである、3相性の低用量ピルであるトリキュラーについてご紹介したいと思います。

トリキュラーの服用を始める前に、まずは、これが3相性であるという事実を再認識しておきましょう。3相性であるということは、シートにあるお薬の種類が全て一緒という訳ではありません。ホルモンの量が三段階になっています。まずは、今まで何度も登場したシートについて。

  • 錠剤のシートとは

トリキュラーは、シートに複数の錠剤が入って(それが箱に入った状態)います。箱を開けると、中にはシートがあります。このシート1枚が1周期という扱いになります。周期を通して、シートにある錠剤を正しい順番で服用します。服用の順番が重要になりますが、難しいことはありません。左上から右へ、そして、下の段の左から右へ、というように進んでいきます。カレンダーのように曜日を当てはめられるシールが付属するので、最初にこれを貼ってから使用しましょう。これを怠ると、飲み忘れや、飲むタイミングの勘違いの原因になることがあります。

  • 服用のスケジュール

続いては、服用のスケジュールについてです。トリキュラーの場合には、三種類のお薬が1つのシートにあるので、順番を忘れずに、服用しましょう。そして、頻度は、毎日1錠ずつです。ここからがさらに重要なのですが、毎日、欠かすことなく、お薬を飲みます。1日の飲み忘れもないようにしてください。このような種類のお薬に慣れていない人は、飲み忘れの可能性があります。毎日、習慣にするために、携帯のアラーム機能などを使うのが便利です。または、同棲している人や家族に、毎日、ちゃんと服用したかどうか確認してもらうのもいいでしょう。

毎日、何時にお薬を服用すべきか、という具体的な決まりはありません。朝でも、夜でも大丈夫です。しかし、一度、時間を決めたら、毎日、その同じ時間に飲むようにしてください。昨日は朝で、今日は夜で、といった不規則な飲み方ではダメです。このような意味でも、アラームで、毎日の繰り返しにしてしまうことをお勧めします。

また、時間の決め方ですが、忙しくない、他のことに気をとられない時間にするのがいいでしょう。朝がバタバタしているのであれば、その時間に設定しないのが賢明です。また、早朝に設定してしまうと、仕事のない日だけ起きるのが遅くなり、同じ時間に服用できない、という可能性もあります。

  • 錠剤の飲み方

トリキュラーの飲み方そのものには、難しいことはありません。普通の錠剤のお薬と同じように、シートから出して(指で押すと出てくるタイプ)水と一緒に飲みましょう。この際には、毎回、シートの正しい順番でのんでいるかどうか、念入りにチェックするようにしてください。

  • トリキュラーの偽薬について

トリキュラーには、偽薬というものがあります。これは決して、トリキュラーを謳った偽物商品という意味ではありません。本物のトリキュラーの中に、一部、この偽薬が混ざっています。これの正体は、実は何も効果のない錠剤です。摂取しても何の効能もありません。

なぜ、そんな意味のない錠剤が入っているかというと、スケジュール管理のための工夫の賜物です。実は、トリキュラーには、休薬期間があります。これは、お薬を服用しない期間です。この記事の前の方で「基本的には、毎日服用する」という記述をしましたが、その理由がこれです。

1周期を表すのが1シートですが、その中には、お薬を服用しないフェーズがあります。ちょっと考えてみてください。お薬を毎日服用していたのに、いきなり、休みの期間が発生し、また、次の周期をバッチリのタイミングで始める、というのはなかなか難しいものです。間に、何も服用しない期間があると、そのまま忘れてしまいがち。

そこで、この何の効果もない偽薬の出番です。お薬をお休みする期間には、この偽薬を服用するのです。そうすると、毎日、お薬を、同じ時刻に服用するけれども、「実際には、ちゃんと偽薬のタイミングで休薬」できています。

ちなみに、この偽薬はトリキュラーの場合には白色の大きな錠剤です。白色の小さな錠剤の方は、普通に効果のあるお薬ですので、この混同はしないように注意が必要です。ちゃんとシートにある順序どおりに飲んでいれば、間違えてしまう心配はありません。

もう少し補足があるのですが、実は、トリキュラーには、この偽薬が「含まれている」パターンと「含まれていない」パターンがあります。どちらも効果は同じです。違いは、飲み忘れ対策がされているかどうか。休薬期間の飲み忘れが心配な方は、是非とも偽薬の含まれる方(トリキュラー28)を選んでください。

  • 服用できないパターン

また、そもそもトリキュラーの服用が適切でないパターンもありますので、把握しておきましょう。まずは、妊娠中の人は服用してはいけません。妊娠中に避妊薬を飲むこと事態が、普通に考えればないことですが、これは避けるようにしてください。また、ヘビースモーカーの方は、注意が必要です。35歳以上で1日に15本以上のタバコを吸う場合には、服用が禁止されています。

さらに、他のお薬と同期間に服用する必要がある人は、あらかじめ医師に相談するのがいいでしょう。今まで、継続的にお薬を飲んできた経緯があるという人も(トリキュラーとの服用期間が直接は重ならなくとも)医師に相談するのが理想的です。

4.4 緊急避妊ピルで避妊はできるのか

続いては、ピルの中でも緊急避妊ピルと呼ばれるものについてです。こちらは、ことに及んだ後に服用します。性交後であることからアフターピルとも呼ばれます。次の日の朝に急いで服用されがちという意味で、モーニングアフターピルという呼ばれ方もします。

これをどんな時に使用するかというと、大きく分けて3つあります。まずは、コンドームなどの避妊器具を使用したにも関わらず(取れてしまったり、破れてしまったり)膣内射精になってしまった場合。そして、上記のトリキュラーなどの低用量ピルがうまく摂取できていない状態で行為に及んだ場合。または、望まない形での、避妊を伴わない性行為も可能性としてあり得ます。

  • 補足1. コンドームの破損など

コンドームの正しい使用方法を学ぶことは、非常に重要です。正しく使う限りは、コンドームには非常に高い確率での避妊成功率があります。基本的な注意点として、性行為の途中から使用するのではなく、最初から着用するようにしましょう。射精のタイミングで装着しておけば安全、という誤解はありがちですので注意してください。また、パートナーの間で、必ず、コンドームの着用を確実に行う、という決まりを作っておくことも効果的です。曖昧な考えだと、酔った勢いで忘れてしまう、といった問題が発生する可能性があります。

  • 補足2. 低用量ピルの服用ミス

低用量ピルの服用ミスを厳密に定義することは難しいですが、以下の目安を参考にしてください。飲み忘れが1日だけの場合には、飲み忘れたことに気づいた時点で、飲み忘れた分のお薬を飲んで、加えて「その日に通常通り服用すべきお薬も」、いつもの時刻に服用します。ですので、そのようなケースでは、1日で2錠を服用する状態になります。

また、飲み忘れによる遅延が「2日以上」できてしまった場合には、必ず、一度服用を中止してください。この場合には「慌てて、忘れた分の錠剤を飲まない」ようにしてください。次の月経を待ってから、別の新しいシートを使用して、服用の周期をやり直します。これには注意が必要で、妊娠の可能性が上がるとされています。ですので、他の避妊法との併用が推奨されます。

この緊急避妊ピルには複数の種類がありますが、例えば、その中でも有名なものとして、レボノルゲストレル錠があります。これを服用するのは性行為から3日以内(つまり72時間以内)でなければなりません。これを正しく使用することで、どれだけの避妊成功率が得られるかというと、一般的に95%以上だとされています。

しかしながら、これが意味するのは「高確率での避妊成功」であると同時に「妊娠をする可能性もある」ということです。ですので、あくまでも最終手段として考えてください。これに頼るかたちでの避妊は避けるべきとされています。女性の体にかかる負担が大きいですし、費用も高額です。妊娠を望まない場合には、他の方法から考えて(コンドーム、避妊経口薬)その結果、何かしらの問題や失敗により、妊娠が疑われる場合には、緊急で利用することができます。

5. 低用量ピル、エストロゲン、排卵の関係

ピルと排卵の関係についても、できるだけ専門用語は使わずに(最低限に抑えながら)ご紹介したいと思います。まずは、低用量ピルには、トリキュラーなどがありますが、これが行うのは女性の体で分泌されるホルモンの量を変えることです。普通、女性が妊娠するためには、女性ホルモンが必要になります。その女性ホルモンの一種がエストロゲンです。

そして、低用量ピルには、これを含む女性ホルモンが含まれています。つまり、外部から体に入れることで、脳に対しては「十分あるので、もう分泌はしないでOK」と伝えるわけです。結果的に、エストロゲンなどの女性ホルモンが分泌されなくなります。これでどうなるかというと、排卵が行われなくなります。排卵が起こらないと、子宮内膜を大きくするために通常は分泌されるプロゲステロンも分泌されません。このような仕組みです、低用量ピルは妊娠できない状態をつくります。また、子宮内膜が薄い状態では、生理の量も抑えられます。

まとめ

今回の記事のまとめへと移りましょう。なかなかの分量がありました。最後までお読み頂きありがとうございます。大事な点を振り返ると、以下のようになります。

5.1 二種類の避妊薬の違いを理解

▷ 低用量ピル:性交の際に急いで服用するのではなく、計画的かつ継続的に服用するものです。スケジュール通りに、飲み忘れなく服用し続けることで、最大限の効果が得られます。緊急避妊ピルに比べて、女性の体への負担が少なく、こちらが先に選ばれるべき避妊の手段です。

▷ 緊急避妊ピル:性行為後に、緊急で服用するお薬です。決して「この手段があるから安心」なのではなくなく、すべての手を尽くした上での、最後の手段だとお考えください。これに頼らないのが理想です。コンドームを使用したものの破れてしまった、などの非常事態があった上で、はじめて使用を考えましょう。病院に出向くことで処方してもらうことができます。

5.2 低用量ピルはスケジュールをしっかり守ること

低用量ピルは、一にスケジュール、二にスケジュールです。とにかく、いい加減な気持ちで使用を始めるのではなく、理想としてはパートナーからの協力を仰ぎ、注力するようにしましょう。

▷ 時刻:毎日、同じ時間に服用します。最初から継続が難しそうなプランは立てないようにしましょう。パートナーと協力すること、スマホのアラームを使うことが効果的です。

▷ 偽薬:トリキュラー28には偽薬があります。スケジュール管理に不安がある方には、是非とも、トリキュラー21ではなくトリキュラー28をお勧めします。トリキュラー28では、毎日服用を続ける(休薬期間であっても何も服用しない、という状態を避ける)ことができます。

▷ シート:トリキュラーなどの低用量ピルは、1シートで1周期と考えるのが基本です。これを大前提として、ちゃんと使い切りましょう。1日だけ服用してOKというものではありません。

▷ 周りの協力:まずはパートナーに情報共有をすること。どのような避妊方法を実践しているのかについてお互いが理解を持っていることが重要です。さらに、低用量ピルの継続的かつ正確な服用を行うために、サポートを求めるのも有効です。

5.3 低用量ピルの作用

▷ ホルモン: 低用量ピルは、女性ホルモンの量を変化させます。ピルの中にホルモンが含まれることで、女性の体はそれを分泌する必要がないのだと理解し、分泌を行わないようになります。その結果、妊娠するための体の準備が進まず、避妊へとつながるという仕組みです。

▷ 卵巣で分泌されるホルモン:女性の体は、通常、妊娠を始められるように、卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。

▷ エストロゲン:エストロゲンは、女性がからだを形作るためのホルモンです。女性が成長し、女性らしい体になっていくために、この女性ホルモンが欠かせません。このエストロゲンは、生理の際には、特定の周期で増減します。また一生を通しての分泌量にも違いがあります。

▷ プロゲステロン:プロゲステロンも同様に、一定の周期で増減を繰り返す女性ホルモンです。生理が始まり約2週間経過時点で排卵となり、この時に分泌されるプロゲステロンの量が増えます。これに加えて、妊娠の中期以降には胎盤からも、プロゲステロンが分泌されます。

6. トリキュラーの基本情報

避妊の方法はいくつもあります。コンドームを装着するというのは、避妊の際の基本として皆さんご存知のことと思います。ともするとこれよりも知名度が低い(正しい服用方法がどれだけ認知されているのか)のがピルと言うものです。これは、避妊経口薬を意味します。口から摂取するお薬で避妊をするというものです。

そんな避妊経口薬の一つがトリキュラーです。トリキュラーはつまり、妊娠をしないようにするためのお薬だということになります。ただし、この段階で知っておいて欲しいこととして、絶対に妊娠しないという保証はありません。トリキュラーの避妊の失敗率(つまり、妊娠してしまう確率)は10%程度だとされています。この数字には、飲み忘れなども含まれているので、正しく使用する限りは、一般的に、失敗率はこれよりも低くなると考えて差し支えありません。

実際には、トリキュラーを正しく服用する限りは、避妊が99%成功するというデータもありますので、正しい使い方を理解するように心がけましょう。これを踏まえた上で、避妊経口薬として高い知名度と人気を誇るトリキュラーについてご紹介したいと思います。

6.1 トリキュラーの製造元

トリキュラーというお薬について不安がある方もいるかもしれません。そんな方のために、どのような会社が製造しているかという情報も補足しておきます。トリキュラーの製造元は、バイエル(バイエル薬品株式会社)です。1973年4月5日設立の歴史ある製薬会社で、世界各地にオフィスを構えます。日本国内の生産拠点は滋賀県で、本社は東京都千代田区丸の内に位置しています。ともすると、バイエルという名前を聞いたことのない人の方が珍しいでしょう。それほどに知名度のある会社です。

7. トリキュラーはどのように作用するのか

続いては、トリキュラーがどのような仕組みで妊娠を抑制するのか考えてみましょう。出来るだけシンプルな説明にしたいと思います。まずは、女性が妊娠するためには、女性の卵子と男性の精子が出会う必要があります。ここまでは、基本的なところですが、もう少し先へ進みます。

女性側の妊娠のための準備というものがあります。体の中で、妊娠が始められるように準備を整えるのです。ポイントはホルモンです。より具体的には、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)、そして、黄体ホルモン(プロゲステロン)が鍵を握っています。

簡単に言えば、妊娠ができる状態になるためには、女性の体は、これらのホルモンを分泌する必要があるということです。逆に言えば、これらが分泌されない状況を作れば、妊娠はできない(受精卵の着床ができない)ということになります。

7.1 補足: エストロゲンとは?

エストロゲンは、女性のからだ作りを支えている大事なホルモンです。一般的に、女性の体の中で8-9歳頃から分泌され始めます。女性が成長期を経て、女性らしい体に変化していくのも、この女性ホルモンの影響によるものです。生理の際には、このエストロゲンは一定の周期で、増えたり減ったりという動きを見せます。また女性の一生を通しても、分泌されるエストロゲンの量には違いがあります。40歳を過ぎる頃には、卵巣機能が低下することにより、分泌が減少します。

7.2 補足: プロゲステロンとは?

プロゲステロンは、エストロゲンとともに一定の周期に従って増えたり減ったりする女性ホルモンです。生理が開始されおよそ2週間が経過すると、排卵が始まりますが、この際にはプロゲステロンの分泌量が増加します。また、妊娠の際には、その中期以降に胎盤からも分泌されます。

実はトリキュラーには、これらの女性にとって非常に大事なホルモンが含まれています。体から自分自身の力で分泌する代わりに、外から取り込んでしまうのです。すると、脳は、体にこれらの女性ホルモンが十分あると認識し、分泌の指令を出さなくなります。つまり、これによって排卵が抑制されます。このようにして卵胞の成熟が促進されることはなく、子宮内膜が厚くなることもありません。これが、トリキュラーが女性の体にもたらす影響です。

8. トリキュラーを服用してはいけない人

さて、続いては、トリキュラーの服用方法に進む前に、トリキュラーを服用してはいけない人や状況に触れておきましょう。まずは、ご自身、または大事なパートナーの服用を急ぐ前に、安全に服用することができるのかどうかを見極めるようにしましょう。

8.1 妊娠している、またはその可能性のある人

まずは、妊娠している、またはその可能性のある人は服用してはなりません。あまり多いパターンではないかもしれませんが、だからこそ見落とされがちです。気をつけてください。

8.2 35歳以上で、かつ多くのタバコを吸う人

35歳以上であり、なおかつ、多くのタバコを吸う人はトリキュラーの服用を避けるべきでしょう。具体的には、35歳以上で、1日15本以上のタバコを吸う人は服用禁止とされています。というのも、トリキュラー服用と上記の量/条件の喫煙の組み合わせにより、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まることがわかっています。非常に危険ですので、注意してください。

この他にも、血栓性素因のある人、高血圧のある人など、色々な人がトリキュラーを服用することができません。ご自身の状態をよく確認するようにしてください。これについて不安がある場合、そして、既に病気を抱えている人は、まずは医師に相談するようにしましょう。

9. トリキュラーはどのように手に入れられるのか

トリキュラーは、薬局やドラッグストアで自由に購入することはできません(医薬品には、様々な分類がありますが、避妊薬は、薬局医薬品ではありません)。病院で処方してもらうことができますが、その際には保険は適用されませんのでご注意ください。また、病院を訪れた際に支払うお金は(検査代/診察代などとセットになるため)病院によりまちまちです。この料金システムを知らずに病院に急いで、後から「思わぬ高額を請求された」と思う方もいるかもしれません。

10. トリキュラーの服用方法

さぁ、ここからは、肝心のトリキュラーの服用方法についてです。まずは、簡単に、トリキュラーと言っても一種類ではないという点からご説明します。2種類の違いを見てみましょう。

10.1 トリキュラーには21錠と28錠がある

トリキュラーには「トリキュラー21」と「トリキュラー28」があります。数字がややこしく感じるかもしれませんが、実は両者の違いはシンプルです。どちらも製剤は同じです。「21」と「28」の違いは、余分な7錠が入っているかどうか。この7錠は、休薬のために使います。なぜ「お薬を服用するのを休む」期間にこの錠剤を服用するのかというと、飲み忘れ防止のためです。

トリキュラー21では、何もお薬を飲まない期間があります。しかし「何も飲まない期間のまま、次にお薬を飲むタイミングを忘れてしまう」ことがあります。カレンダーに記録をつける、アラームを設定するなどの対策はできますが、それでも、人間ですからうっかりすることもあるでしょう。そんなミスを無くすために、上記の7錠があります。というわけで、この7錠にはお薬として効果はありません。ただ「飲むという習慣を忘れずに続けるため」のものです。

10.2 トリキュラーにはお休み期間がある

話に出てきたので、お休みの期間についてもご説明します。休薬期間と言われ、文字通り、その日数だけお薬を服用しない、というのが正しい用法になります。トリキュラー28にある余分の7錠は偽薬と呼ばれます。これだけ白色で大型なので簡単に見分けがつきます。先ほども触れた通り、飲み忘れの心配がある、休薬期間中にも何かしらの薬を服用するようにした方が忘れないので助かる、という方はトリキュラー28の方にするのがいいでしょう。

10.3 トリキュラーの服用周期

トリキュラーを服用する際には、周期を意識することが非常に重要です。これはトリキュラー21とトリキュラー28どちらにも同じく言えることです。最初にこのお薬を服用する時には、月経の第一日目が出発点となり、この日から服用を開始します。以下に、トリキュラー21とトリキュラー28のそれぞれの服用の流れをご紹介します。基本的には同じなのですが、服用の際には、自分がどちらを利用しているのかを明確に理解するようにしてください。

10.4 トリキュラー21の服用の流れ

トリキュラー21の服用についてです。毎日1錠づつ服用します。ここで注意点です。錠剤には複数種類あり、それぞれが違う色になっています。どの期間にどの色の錠剤を服用するのか、注意を払うようにしましょう。1日目から6日目までは、赤褐色の錠剤を服用します。7日目から11日目までは、白色の錠剤を服用します(注意:先ほど触れた「偽薬」はトリキュラー21には含まれませんのでご注意ください)。12日目から21日目までは、淡黄褐色の錠剤を飲みます。そして、22日目から28日目までは、休薬期間となります。トリキュラー21には偽薬が含まれていないので、このお休みの期間には、何も服用せずに過ごすことになります。

お休みの期間であっても、次にお薬を飲み始めるのがいつなのか、という全体の流れは把握するようにしてください。トリキュラー21の仕組みだと忘れてしまいそうという人は、トリキュラー28を選んだ方がいいかもしれません。

10.5 トリキュラー28の服用の流れ

続いてはトリキュラー28についてです。基本的には、上記のトリキュラー21と同じです。違いは、休薬期間中に偽薬を飲むことです。上と同じように、1日目から6日目までは、赤褐色の錠剤を服用します。7日目から11日目までは、白色の錠剤を服用します(注意:偽薬は白の「大きな」助剤ですので、これと混同しないようにしましょう)。12日目から21日目までは、淡黄褐色の錠剤を飲みます。そして、22日目から28日目までは、休薬期間ですので、白くて大きい偽薬としての錠剤を1日1錠づつ飲みます。

10.6 トリキュラーの便利な習慣づくり

トリキュラーは21も28も、飲み忘れをせずに習慣化することが重要です。これをサポートするために、トリキュラーのシート(シートに1周期分の錠剤がまとまっている)レイアウトは、曜日を意識できる作りになっています。1段ごとに7つの錠剤が並んでおり、その上には、曜日のシールを貼り付けることができます。服用を始める前に、自分の実際の最初の曜日に該当する並びのシールを貼り付けてください。最初にこの準備を行ったら、残りのシールは不要になります。そして、該当するお薬の上に曜日が並ぶことになるので、一目で流れが確認できます。
この他にも、ご自身で忘れないための工夫をされることをお勧めします。スマホのアラーム機能を使って、毎日同じ時間(例えば寝る前など)を決めて、その時間にアラームが鳴るようにできます。この際には、できるだけ忙しくない(慌てて行動する中でのうっかり忘れを避けるために)時間に設定するのがいいでしょう。

10.7 トリキュラーの服用時刻について

トリキュラーは同じ時刻に毎日(上記の説明のように休薬期間はありますが)服用するようにしてください。一般的に1-2時間の誤差は問題ありませんが、できるだけ同時刻を続けるようにしてください。12時間以上の誤差が出てしまわないようにご注意ください。

10.8 トリキュラーの飲み忘れが発生した場合

トリキュラーは正しい習慣で服用することが重要です。これを守らないと効果がないばかりか、体を危険に晒すことになりかねません。実際に飲み忘れが発生した場合には、その期間がどれだけであるかによって対処方法は異なります。飲み忘れが1日だけである場合には、飲み忘れたことに気づいた時点でそのお薬を飲んで、そして、その日に通常であれば服用するお薬も、いつもの時刻に服用します。ですので、この場合には、1日で2錠を服用する状態になります。

一方で、飲み忘れによる遅延がそれ以上(2日以上)である場合には、一度服用を中止します。この場合には、慌てて追加の錠剤を飲まないようにしてください。そして、次の月経を待ちます。月経が来たら、別の真新しいシートを使って改めて服用の周期を始めます。この際には、妊娠の可能性が高まるとされており、他の避妊法との併用が推奨されています。

11. 避妊経口薬と性感染症予防の違い

避妊経口薬トリキュラーについての記事で、この話題は非常に重要です。冒頭からお伝えしている通り、トリキュラーは避妊のためのお薬です。実際、多くの人が勘違いしがちな部分ではありますが、これは性感染症を予防するためのお薬ではなく、そのような効果はありません。

11.1 AIDS/エイズの基本

例えば、性感染症の1つにAIDS/エイズがあります。AIDSは後天性免疫不全症候群を意味します。この様々な症状のまとまり(症候群)のことをエイズと言います。そして、誤解されがちな知識として、エイズとHIVはイコールではありません。HIVはヒト免疫不全ウイルスを意味します。これは、その名から分かる通りウィルスですので、病気の症状ではありません。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染することの原因として、AIDS(後天性免疫不全症候群)が発症するという構図です。HIBへの感染→体の免疫の低下→AIDS発症となります。ただし、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している人であっても、必ずしもAIDS(後天性免疫不全症候群)を発症しているとは限りません。それどころか、ほとんどの場合、症状が何もない状態が続きます。この状態を一般に無症候性キャリアと呼びます。

11.2 AIDS/エイズの具体的な症状

先ほど、AIDSが後天性免疫不全症候群を意味し、そして、これが症状の「群」であることはお伝えした通りです。実際には、その症状は人それぞれです。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染したからと言って、全ての人に複数の同じ症状が見られる訳ではありません。

具体的には、真菌症(カンジダ症、ヒストプラズマ症など)、原虫症(トキソプラズマ症、イソスポラ症など)、細菌感染症(敗血症など)、悪性腫瘍(カポジ肉腫など)、その他(リンパ性間質性肺炎など)等々です。尚、ここで挙げた例は、ほんの一部にすぎません。23種類あり、それら(日和見感染症)のいずれかに感染すると「AIDSの発症」とみなされます。

11.3 AIDS/エイズの予防について

この記事ではあくまでも避妊経口薬トリキュラーについての情報を扱っており、性感染症の一つであるAIDS(後天性免疫不全症候群)は補足情報に過ぎません。ですので、これについての深い説明は避けますが、上記の簡単なお話だけで、基本はご理解頂けたと思います。これを把握した上で、AIDSの予防についてですが、これは避妊経口薬では防げません。別の対策が必要になります。これらは切り分けて考えることが重要です。

AIDS予防方法として、まずはコンドームの使用が挙げられます。AIDS感染経路は主に体液です。これには血液、精液、その他分泌物が含まれます。これらが、他の人の体内に入った時に感染の原因となってしまいます。感染原因の大部分が性行為であり、だからこそ、コンドーム使用などにより対策を講じることが重要です。

ちなみに感染経路は必ずしも膣とは限りません。口や肛門からも上記の体液(感染している人からの)が侵入すると、それは感染リスクということになります。ですので、オーラルセックスなどの際にも、病気への感染という意味でのリスク管理が欠かせません。

11.4 性感染症の検査について

このような意味で、まずは、性的行為に及ぶ相手の状況を知る、それ以前に、自分の状態を知ることが重要です。せっかく、この記事を通して避妊経口薬トリキュラーについての理解を深めているのですから、この機会に、性感染症についての意識も養いたいものです。これまで検査を受けたことのない人は医療機関で検査を実施してもらうことをお勧めします。これは自分を知ることであり、大事なパートナーに対しての責任でもあります。

11.5 性感染症と誤った偏見について

上では、AIDSとHIVを例に出しましたが、これらの感染経路となるのは主に体液です。しかしながら(これについてもお伝えした通り)その体液が体の中に侵入した時にだけ、それが感染経路となり得ます。ですので、決して、HIVを患う人と握手をしたり、その体に触れるだけで感染するということはありません。感染についての誤った知識があると「近寄るだけで、触れるだけで危険なのでは」という偏見につながってしまいますので、それは避けたいものです。

12. 素早くチェックできる問答コーナー

このセクションでは、個別のありがちな疑問についての回答を掲載しています。詳しい説明については上にある個別の部位をご覧ください。

  • Q. トリキュラーはいつでも使い始められるの?
    • A. いいえ。いつでもいい訳ではありません。月経第1日目から使い始めるようにしてください。ですので、日頃から(女性であれば)自らの(または男性であればパートナーの)体の周期を理解していることが重要になります。最近では、スマホアプリなどで簡単に周期をチェック/記録できますので、これを日頃から活用するのもアリでしょう。
  • Q. トリキュラーで性感染症の予防でもできるの?
    • A. いいえ。トリキュラーはホルモンの状態をお薬により調整することにより、人工的に妊娠できない状態にする(を目指す)お薬です。これには、AIDS/HIVをはじめとする性感染症を予防する効果はありません。個別に対策を行いましょう。
  • Q. 性行為の後に避妊回避のために服用することは可能?
    • A. いいえ。トリキュラーは事前に女性の身体の周期を把握した上で、適切なタイミングで使い始め、継続的に服用するものであり、妊娠を「予防」するためのものです。性行為の後に、緊急で服用するものは「アフターピル(緊急避妊)」と言われています。これらは全くの別物ですので、混同しないようにご注意ください。また、避妊経口薬と同様に、アフターピルでも「絶対に妊娠を避ける」ことは保証できませんのでご注意ください。
  • Q. トリキュラーはバラバラの時間に服用しても大丈夫?
    • A. 同じ時刻に服用するようにしてください。厳密に1分単位での違いを気にする必要はありませんが、飲み忘れを防止するためにも、時刻を決めてしまうのがいいでしょう。
  • Q. トリキュラーを使えばコンドームは不要ですか?
    • A. トリキュラーは正しく使う限り、高い確率で妊娠を回避することができます。およそ90%の数字だとされています。妊娠を回避するという目的である限り、これだけで十分だと考えるのが妥当です。しかし、薬の飲み忘れがあったりするとこの確率が下がるので、他の避妊方法とあわせることが推奨されています。加えて、トリキュラーをはじめとする避妊経口薬には、性感染症を予防する効果はありませんので、これに対しては別の方策や考え方が必要になります。
  • Q. トリキュラーは誰でも使用できますか?
    • A. トリキュラーを使用できない特定の状況や体調があります。その中の一つが、35歳以上であり1日ごとに15本以上のタバコを吸う喫煙者です。ご自身が、またはパートナーの方がトリキュラーを使用できるかどうか不安な人は、医師に相談してください。
  • Q. トリキュラーは薬局などで買えますか?
    • A. いいえ、トリキュラーは薬局やドラッグストアに出向いて購入することのできるタイプのお薬ではありません。また保険も適用外となります。
  • Q. トリキュラーの飲み忘れはどのように防げますか?
    • A. 心配な場合には、まずは偽薬の含まれているトリキュラー28を選ぶようにしましょう。これに加えて、スマホのリマインダーやアラーム機能を「毎日、同じ時刻」に設定するのも便利です。パートナーがこれを支え、二人が意識して、服用を忘れないように確認することもできます。
  • Q. トリキュラー21と28の違いは偽薬の有無だけですか?
    • A. トリキュラー21とトリキュラー28の違いは、偽薬が含まれているかどうかです。白く大きな錠剤が偽薬ですので(大きさの違いがあるので大丈夫だと思いますが)これと、もう一種類の別の白く小さな錠剤と間違えないようにご注意ください。
  • Q. トリキュラーは使い回せますか?
    • A. トリキュラーは1つのシートを1つの周期で使うように設計されています。一部だけ使って、残りをまた別のタイミングで使うなどのことはしないでください。また、飲み忘れなどのタイミングのズレが2日以上になってしまった場合には、そこから再開せずに、一度服用を中止して、医師に相談するのがいいでしょう。
  • Q. トリキュラーに副作用はありますか?
    • A. トリキュラーを服用中には血栓症のリスクが介在します。手足の麻痺、当然の息切れ、舌がもつれて喋りにくいなどの症状が見られる場合には、服用を中止して、医師による診察を受けてください。吐き気、発赤などについても直ちに使用を中止し、医療機関で診察を受けましょう。
  • Q. トリキュラー仕様に際して定期検診は必要ですか?
    • A. 先ほどの回答のように血栓症のリスクを考え、6ヶ月ごとに検診を受けることが推奨されています。さらに、婦人科検査については、これとは別に1年に1回以上、そして、子宮頸癌検診については1年に1回受けるようにしてください。
  • Q. トリキュラー服用時に他の薬と飲み合わせをしても大丈夫ですか?
    • A. トリキュラーには飲み合わせてはいけないお薬があります。例えば「服用前」であっても、すでに免疫抑制薬、筋緊張緩和剤、気管支拡張薬など(これはほんの一例です)を使用している場合には、まず医師に相談してください。また、トリキュラーを服用する際に、同時に他のお薬も服用する必要がある場合には、その種類に関わらず医師に相談しましょう。

13. さいごに

トリキュラーは、世界的に高い知名度と信頼を誇るバイエルにより製造されているお薬です。避妊経口薬として、日本で高い普及率を誇ります。正しく使う限り、高い確率で妊娠を防ぐことができます。効果は折り紙つきですが、服用方法には注意が必要です。特に、使用を検討する前に、まずは、自分が使用できるのかどうかを確認して、その後、正しい服用計画を立てましょう。

トリキュラーには21と28があります。これらの違いは、トリキュラー28の方に偽薬(白くて大きさの大きいもの)が含まれていることです。休薬期間後の服用を忘れてしまうのが心配な方は、28錠の方を選ぶと便利です。時刻は毎日同じ時間を守るようにしてください。使い始めのタイミングについてもちゃんと月経の1日目を選ぶようにしましょう。今回の記事でご紹介した情報はあくまでも一般的な説明のためのものです。最終的な判断については医師に相談してください。

パートナーとの素敵な関係は確実な知識に基づいた、責任ある行動があってこそのものです。自分が使用していいのかわからない状態で使い始めたり、相手の状態をわからないまま無責任に勧めたり、また、服用の流れを正確に理解せずに使うのは絶対に避けましょう。パートナーからの支えが必要であれば、また、相手の知識が乏しいようであれば、積極的に共に情報収集をして、扱い方やリスクなどを把握した上で、判断をするようにしましょう。また、少しでも不明瞭なことがあれば、専門家や医師にためらわずに相談するようにしましょう。